キャットフード・ペットフードの歴史
日本で人が犬と生活し出したのは縄文時代から、猫は奈良時代からだと言われています。世界を見てもさらに前から人と犬や猫は一緒に暮らしてきたことがわかります。
しかし犬や猫が毎日食べるペットフードを見ると、その歴史はそこまで長くないことがわかります。ペットの食事として今や当たり前の物としてあるペットフードですが、ペットフードはいつどのようにして誕生したのでしょう。
ペットフードの歴史の始まりは19世紀後半に遡ります。
ペットフードの誕生は犬用から
19世紀後半歴史上、世界で初めて製造されたペットフードは犬用のビスケットでした。これを作ったのはロンドンに住んでいたアメリカ人のジェームズ・スプラッツです。
ジェームズ・スプラッツは1885年に製造会社を設立したのち、1894年に拠点をアメリカに移しドッグフードメーカー「スプラッツ・オブ・アメリカ」を立ち上げ、ドッグフードの製造を始めました。
犬は猫よりも先にペットや家畜として親しまれたことからエサを与えられ始めるのも犬から始まったと言われます。また猫は犬ほど従順性がないため自由に動き回り気ままなためエサを与える習慣があまりつかなかったとも考えられます。
犬缶が登場!馬肉が使われ大ヒット
20世紀になり、第一次世界大戦が終わって4年が経った1922年、「チャペル社」というドッグフードメーカーが売り出した犬用の馬肉缶詰が大ヒットします。
これをきっかけに今までドッグフードを利用していなかった一般家庭にも一気にドッグフードが広まっていきました。
実はこの犬用の馬肉缶詰が登場した背景には第一次世界大戦中、フランスから受けていた食料援助が関係しています。
《馬肉缶詰が誕生した背景》
アメリカは第一次世界大戦中、フランスから食料援助を受けていました。その際、フランスはアメリカに食料として馬肉の缶詰を送っていました。
しかしアメリカではまだ馬肉を食べる習慣がなかったため、終戦すると余った馬肉を人が食べることはなくなりました。そこで余った馬肉は人間の食料ではなくペットフードの材料として使われるようになります。
このような時代の背景から馬肉の缶詰めが製造されるようになったというわけです。
ちなみにこの頃、日本はアメリカと同じ連合国側として第1次世界大戦に参戦していましたが、ペットフードの輸入はされていません。
粉末・セミモイスト・ドライタイプのペットフードが登場
その5年後の1927年、ゲインズ社(現在のゼネラルフーズ)から粉末タイプになったドッグフードが発売されますが、それほど一般家庭には広まりませんでした。
しかし1939年から第二次世界大戦が始まり。その影響でこれまで一般的に与えられてきた犬用の馬肉缶詰の製造が難しくなります。
そこで登場したのが、ドライタイプ、セミモイストタイプのペットフードです。セミモイストタイプよりも安く手軽に使いやすいことから、ドライフードはペットフードの主流になっていきました。
日本にもペットフードが輸入される
第二次世界大戦が終わってしばらく経った1950年代、アメリカで製造されたドッグフードが日本にも輸入されるようになりました。
ドッグフードの輸入が始まると、国内でもペットフードが生産されるようになります。
初の国内産ペットフードはキャットフード
ここでようやくキャットフードが登場しますが、初めて日本で生産されたペットフードは意外にもキャットフードでした。
1958年、生産したのは現在もツナ缶や缶詰などで有名なメーカー「いなば食品株式会社」です。まぐろの血合い肉などを利用して製造するようになりました。
2年後に国内産のドッグフードが登場
国内産のキャットフードが誕生した2年後(1960年)、「協同飼料株式会社」から国内初のドッグフードがビスケットタイプで製造されました。
安全性と品質が問われるようになる
こうしてペットフードは輸入や生産が進み、数も種類も増やしていきましたが、問題になったのはペットフードの安全性や品質です。
ペットフードで健康被害が出た事件も
ペットフードは人の食べ物に比べると規制が緩く、人の食べ物には使用できない成分や添加物も使われることもありました。
それが原因でペットフードを食べた犬や猫などのペットが病気になったり亡くなってしまったり、事件になるほどペットに大きな健康被害が出た例もあります。
ペットフード安全法の施行
そこで2009年に日本でも初めてペットフードに関する法律「ペットフード安全法」が施行され、犬用・猫用のペットフードの安全性は確保されました。しかしこの法律だけではまだ十分とは言えない部分もありました。
例えば猫にとって必要のない塩分や穀物などは摂りすぎれば、猫は体の調子を崩してしまします。しかしキャットフードには人間でもしょっぱいと思うくらい塩分が含まれていたり、穀物を多く使用されてあるものも確かにあります。
ペットフードはしっかり選ぶことが大切
現在は品質の良い安全性の高いペットフードが増え通販でも簡単に購入できるようになり、またネットなどで飼い主さんがペットフードの知識を得られるようになったことで、安全で品質の良いペットフードを与えてもらえる猫が増えてきています。
手に取ったすべてのペットフードが安全で質の良い物であることが理想ですが、現在はまだすべてのキャットフードが猫にとって悪影響はないとは言い切れないので、ペットの健康を守るには飼い主さんのフード選びにかかっていると言ってもいいかもしれません。