ペットフード安全法とは 基準や規格・対象になるのは
少し前までは猫や犬などのペットの餌の安全基準は設けられていませんでした。人間が食べないということで特に規制がなかったのです。
ペットフードの安全性を再確認させた「大量リコール事件」
アメリカのペットフードOEM工場で中国産の原材料が原因となり、大量のペットが死亡するという事件が起こりました。大型リコールによりペットフード業界にも大きなダメージを残し、当然ながらペットや飼い主にも大きな被害が生じました。
(日本にも同じ原材料が使用されたペットフードの輸入が行われていましたが、早期の回収で事故が起きる前に収めることができました。)
2009年にペットフード安全法が施行
この事件をきっかけに世界的にもペットフードに対する安全性が見直され、日本でも2009年に「ペットフード安全法」が施行されました。これが日本のペットフードの規制と表示義務として初めてのものです。
日本で犬や猫がペットとして飼われ始めて何百年も経ちますが、ペットフードが法律で守られるようになってまだ10年も経っていません。ペット先進国と比べれば圧倒的に遅い対策と言えます。
ペットフード安全法とは
ペットフード安全法とは、ペットフードの安全性とペットの健康を守ることを目的に施行された法律です。
この法律では、犬や猫のペットフードが対象になっており、事業者は国が定めた安全なペットフードの基準や規格を守って製造・輸入・販売を行わなければなりません。基準や規格に合わないペットフードを製造していたり、有害な物質が含まれいた場合は、製造停止・廃棄・回収などが事業者側に命じられます。罰則もあり、違反内容によっては罰金1億円というケースも。
この違反を見つけるために国は事業者も報告を求めたり立ち入り調査を行うこともできます。
ペットフード安全法の基準・規格
安全法の基準や規格は実際どのような決まりなのでしょう。
成分の規格
- かび毒
- 重金属
- 有機塩素系化合物
- 農薬
- 添加物
- メラニン
国では上記の成分に上限値を設けて厳しく制限しています。大量に取るとペットの体の負担になる成分、有害になる成分を規制しています。
製造の基準
製造面では、有害な物質や病原菌などを含んだ原材料の使用を禁止したり、製造の過程で菌が繁殖しないようにするなどの規制があります。
また猫が食べるキャットフードにはプロピレングリコールという添加物を使用してはならないという規制もあります。
(毒性が低いプロピレングリコールは、食感を保つために使用されますが、犬の場合は特に問題は起こりませんでした。しかし猫は赤血球の数に変化が見られたため規制されることになりました)
表示の基準
ペットフードの表示では5つの項目を日本語で記載しなければなりません。
ペットフード安全法の対象
ペットフード安全法の対象
- 犬・猫用の総合食(主食タイプ)
- 副食(おかずタイプ)
- おやつ・スナック・ガム
- ペット用の生肉
- サプリメント
- ミネラルウォーター
ペットフード安全法の対象外
- 医薬品
- おもちゃ
- ペットフード容器
- またたび・猫草
- 店内で食べる・調査研究中のフード
総合栄養食やおやつ、スナック、ガムなど「犬猫が食べるもの」として販売されている物が対象となります。ただし動物用医薬品等は除かれます。
ペットフード業界のルールでより安全に
事業者団体のペットフード公正取引協議会が管理・運営する「公正競争規約」(=業界の自主ルール)では、安全法で定められている5つの項目に加え、
- ペットフードの目的
- 内容量
- 給与方法
- 成分
の4つを合わせた9項目が定められています。これは消費者庁と公正取引委員会に認定され、消費者が公正な判断・選択ができるようにすることを目的としています。これにより犬や猫を飼う人はペットフードをより選択しやすくなりました。
消費者がキャットフードを判断できるように
こうして販売されているキャットフードの基準が設けられたことで安全性が高まり、なおかつ消費者自身がキャットフードの安全性が判断しやすくなりました。
結果的にインターネットではキャットフード紹介や比較サイトなどもできるようになりました。
インターネットにある情報が必ずしも正しいものかはわかりませんが、多くの情報を見ることができ、判断できるだけの知識を勉強することができます。